研究内容
当研究室ではデータサイエンスを活用して、経営・社会・科学技術に関する現象を体系的に理解し、新しい知見を創出することを目指しています。機械学習・深層学習、自然言語処理、ネットワーク分析などの手法を中心に、手法そのものの基礎研究にも取り組んでいます。
解析対象は、学術ビッグデータ、ソーシャルメディア、企業取引情報やM&A、特許データ、都市行動データ、レビュー文など多岐にわたります。生成AIについては、逆学習を用いた大規模言語モデル(LLM)の解析や、LLMを活用した社会・科学データの分析にも先駆的に取り組んでいます。
学生の研究テーマ選択については自主性を尊重し、多様なテーマの研究が進められています。研究者同士が活発に交流し、分野横断的な取り組みが進んでいます。
さらに、テクノロジー・インフォマティクス社会連携講座や NEDO/産業技術総合研究所のプロジェクトなど、外部機関との共同研究も積極的に推進しています。研究成果の社会実装と広範なコミュニティへの貢献を重視しています。
Science of Science / Science of Science
科学論文、特許、企業活動などから、知識や技術がどのように創出され、社会へ広がるかを数理的に解析します。多様性やジェンダーなどの社会的要因も対象とし、近年国内外で活発化している研究領域です。
生成AIと社会 / Generative AI and Society
生成AIの普及が学術研究や技術開発のあり方をどのように変えつつあるかを、大規模な論文・特許データから定量的に分析します。また、LLMをエージェントとした社会シミュレーションにより、AIの集団が示す同調や協調といった振る舞いを実験的に検証し、AIが集団的な意思決定や規範形成に与える影響を明らかにしています。
近年の代表的な研究
- LLMエージェント集団における規範的同調( arXiv 2026 )と通信遅延下での協調の崩壊( arXiv 2026 )の検証
- 生成AIの利用拡大が研究テーマや技術開発に与える影響の分析
- LLMエージェントを用いた社会シミュレーション手法の開発
生成AIの活用による技術探索 / AI-driven Technology Discovery
生成AIを論文・特許の大規模解析に組み込み、有望技術や連携先の探索を支援する手法とシステムを開発しています。LLMによる論文の地図化・要約、LLMアノテーションを用いた論文と特許の紐づけ、基礎研究から応用研究への進展度の定量化などに取り組み、テクノロジー・インフォマティクス社会連携講座を通じて企業との共同研究として推進しています。
近年の代表的な研究
- LLMを活用した学術分野可視化システム Science Planet+ の開発・提供
- 特許埋め込みから構築した技術グラフとシナジーによる提携先企業の選定( Complex Networks 2025 )
- LLMアノテーションを用いた論文と特許の紐づけ(METSTI 2026 発表予定)
- 基礎研究から応用研究への進展度の定量化と、応用シフト期における基礎研究者の役割( Technovation 2024 , arXiv 2025 )
計算社会科学 / Computational Social Science
都市における人の行動やSNS上のインタラクションをデータから数理的に解析します。Google MapデータやTwitterデータの分析、LLMを活用した社会データ解析、企業ネットワークや特許情報を用いた技術・経済の相互作用の研究を進めています。
近年の代表的な研究
- Twitter上の政治コミュニティ構造の変化の解析
- Google Mapデータによる都市インタラクション構造の理解
- 研究者のSNS利用と研究インパクトの関係分析
- 地銀を中心とした企業間取引ネットワークの距離特性
- パテントスペースを用いた企業ポートフォリオ戦略の評価
- 気候変動適応におけるメンタルヘルスの位置づけに関する論考( Nature Climate Change 2026 )
自然言語領域における生成AIの基盤研究 / Foundations of Generative AI in NLP
逆学習・モデル合成・学習データ蒸留などの最先端手法を開発し、言語モデルの汎化能力や推論能力がどのように獲得されるかを解明します。また、言語モデルの透明性・安全性・効率性の向上を目指した研究に取り組むとともに、LLMをエージェントとして活用する新しい枠組みも探求しています。
近年の代表的な研究
- 大規模言語モデルの逆学習による訓練データ解析( ACL 2024 )
- コーパスの逆蒸留による言語モデルの安全性向上( ICLR 2025 )
- ガードレールなどの法的有効性に関する議論
- エージェント間の効率的なコミュニケーション方法に関する研究
論文/研究プロジェクト紹介
Science Planet+: LLMを活用した学術分野可視化システム
数億件の論文をLLMと引用ネットワークで地図化し、対話的に探索できるシステム
テクノロジー・インフォマティクス社会連携講座
生成AIとネットワーク解析による技術探索を企業と共同研究する社会連携講座(2020.04〜2029.03)
LLMは規範的同調を示す:LLMエージェントによる社会シミュレーション
LLMエージェントの集団でも人間と同様の規範的同調が生じることを実験的に示した研究
各国の研究トピックの進展を定量化
各国の研究者が出す論文群のリサーチトピックを定量的に時系列に比較
サステナビリティとSDGsへの科学的関心:学術論文のメタ分析
サスティナビリティに関する学術文献がSDGsに対しどのような関心を持っているかを分析
Large-scale analysis of delayed recognition using sleeping beauty and the prince
長い間注目されなかった論文であるSleeping Beautyとそのきっかけとなる論文であるPrinceを大規模に取得し、その特徴を明らかにしました。非連続な発見は遠い分野間だけではなく、近くの分野の見落としにも多く存在していることがわかりました。
Evaluating Nodes of Latent Mediators in Heterogeneous Communities
異質なコミュニティをつなぐ結節点(ノード)を検出する新しいネットワーク指標(PW)を提案
Dense and influential core promotion of daily viral information spread in political echo chambers
Twitterの政治的エコーチャンバーにおいて効率的な情報拡散が行われている過程を明らかにしました。
Unsupervised Abstractive Opinion Summarization by Generating Sentences with Tree-Structured Topic Guidance
木構造上のトピックから各トピックに関する要約文を生成する教師なし要約手法を提案